毎年スギ花粉症に悩んでいる方に朗報です。スギ花粉症治療を完治または軽減する方法として、本年秋より舌下免疫療法が保険診療可能となり、当施設でも、食物アレルギーによるアナフィラキシーの治療薬であるエピペン同様、ライセンスを取得して処方出来る様になりました。
スギ花粉症はご存知の通り多くの患者さんがおり、国民の4人に1人以上が持っているとも考えられ、もはや国民病とも言えます。治療は薬の内服、点鼻、点眼が中心ですが、薬が効かなかったり、眠くなるなどの副作用もあり、十分とは言えませんでした。何とか耐えているという方もいらっしゃると思いますが、仕事や学業に支障が出てしまうことも少なくありません。今回使用出来る舌下免疫療法とは、Crjy-1というスギ花粉症を起こす主成分をごく少量を服用することで、体質を徐々に変えていく治療法で、以前から注射で行われて来た「減感作療法」とか「脱感作療法」と同じ仕組みの効果になります。従来は注射のため、毎週1回の注射を4~6ヶ月程度続け、その後は1ヶ月に1回の注射を3年以上継続なければなりません。これに対し、
舌下免疫療法は自宅で出来るというところに最大のメリットがあり、画期的な方法と言えます。しかし、注射同様、すぐに効くというものではなく、花粉症の時期以外にも通院するなど根気が必要です。
舌下免疫療法にはその他、多くの注意点があります。以下をお読み頂き、ご希望の方はご相談下さい。一緒につらいスギ花粉症を治して行きましょう。
1. 始めるにあたり、医師から30分ほどの説明があります。
2. 初回投与はクリニックで行います。
3. 適応は12歳以上の方で、重症な喘息、免疫の低下している病気の方は使用出来ません。
また、
スギ花粉の飛散時期に治療継続は出来ますが、開始をすることは出来ません
(1月-5月頃)。
4. 投与は3-5年で、新薬のため厚生労働省の決まりで導入初期は2週間に一度の通院、
安定すれば
月に一度の通院となります。
5.
完治するひとは10~20%程度で、全体の70~80%の人に有効という報告があります。
全てのひとが完治するわけではありませんが、今までの治療と違う画期的な治療であることは
間違いありません。
6. 服用は薬液を舌の下に2分程含み飲み込みます。その後、5分は飲食を控えます。
7. クリニックの治療費と薬局での薬代と合わせて、1ヵ月あたり3,000~4,000円の負担(保険3割
負担の場合)となります。
8. 口腔内アレルギーや頭痛に加え、稀ではありますが
重篤なアナフィラキシーを起こす可能性が
あります。
9.
服用2時間前後は入浴、激しい運動、飲酒は出来ません。